はじめに
例えば、以前失注をしてしまった顧客に対して、再度新商品のメールを送りたいというような場合、「商談のデータはどこに入っていたか?」「そもそもリードの情報は最新の状態に更新されているか?」といったような事態に陥ってしまうことはないでしょうか。
施策を実行したいタイミングで実行できるよう、いつでも必要なデータを取り出せるようにしておくことが大切です。
Account Engagement(旧:Padot)とSalesforceではそれぞれ顧客の情報を管理することができますが、2つを連携させることでより適切な情報管理を行うことができます。
それぞれのデータがどのような目的でどこに保存されているのか、どのような仕組みで連携されているのかを理解して、必要な時に必要なデータを取り出せるような環境を目指しましょう。
Account EngagementとSales Cloudのデータ
Account EngagementとSalesForce(Sales Cloud)には、それぞれ異なる用途でデータが存在しています。
出典:顧客データの管理方法①|SalesForceサクセスナビ(https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000160)
顧客の情報は、Account Engagementでは「プロスペクト」と呼ばれ、Sales Cloudでは「リード」「取引先責任者」と呼ばれます。
こちらの情報は相互に同期されていて、例えば、プロスペクトの住所を更新するとSales Cloud上のリードの住所も更新されます。逆の場合も同じです。
Account Engagementのプロスペクトアカウントは、Sales Cloudの取引先の情報を参照します。こちらは読み取り専用なので、プロスペクトアカウントの情報を更新しても取引先の情報は更新されません。
商談・カスタムオブジェクトの関係も同じです。
Account EngagementとSales Cloudの同期
プロスペクトとリード・取引先責任者
Account Engagement内のプロスペクトと、Sales Cloud内のリード・取引先責任者は相互に同期されています。
Salesforceの中にいる顧客には、「SlaesforceID」という独自のIDが振られます。
Account EngagementとSales Cloudを同期させると、同じSalesforce IDとメールアドレスを持つ顧客がそれぞれのツールの中に存在することになります。
Salesforce内でそのSalesforce IDとメールアドレスを利用して、同一の顧客かどうかを判断します。
その仕組みを利用して、どちらかで更新があった際にはもう一方の情報が更新されるようになっています。
ただし、値によっては最新の情報ではなく、Sales Cloud・Account Engagement、いずれかを優先して更新をさせない場合もあります。
また、Account Engagementが新規で作られても、自動的にSales Cloudでリードが作成されるわけではありません。
例えば、Account Engagementで作成したフォームを通じてプロスペクトが新規で作成されたとします。このままだと、Sales Cloudへのリードの作成は保留されたままとなってしまいます。
Sales Cloudにリード情報を作成させるには、フォームから入ってきたそのプロスペクトにAccount Engagementのユーザーを割り当てる必要があります。ユーザーを割り当てることで、Account EngagementとSales Cloudとの同期が完了します。
逆に、Sales Cloudにリード情報が作成された時、Account Engagementにプロスペクトは自動で作成されるでしょうか。
この場合も、自動で作成をされることはありません。
Salesforceでコネクター設定を行うことで、Account Engagementにもプロスペクトが作成されるようになります。
Account Engagementでも、Sales Cloudでも、新規の顧客情報が作成された場合、自動で情報が同期されることはないので注意しましょう。
プロスペクトアカウントと取引先
Account EngagementのプロスペクトアカウントとSales Cloudの取引先は読み取り専用の関係にあります。プロスペクトアカウントはSales Cloudの取引先の情報を参照して、作成・更新を行います。
商談
Account Engagementの商談とSales Cloudも同じく読み取り専用の関係にあります。Account Engagementは、Sales Cloudの商談を参照します。
実際に、Account Engagementには「商談」を作成したり編集をするという機能はありません。Account Engagementで商談の状況を確認するには、Sales Cloudと同期をさせる必要があります。
こちらもプロスペクトとリードの関係のように、自動で商談が作成されることはありません。
取引先責任者のロールを指定することで、はじめてAccount Engagementで商談を読み取れるようになります。
Account EngagementとSales Cloudのバッチ処理について
最後に、2つのデータのバッチ処理について説明します。
バッチ処理とは、一定量・一定期間のデータを集めて一括で処理を行う、データ処理方法の一種です。バッチ(Batch)には、「一団の・一束の」というような意味があります。
SalesforceからAccont Engagementへ、もしくはその逆へデータの同期を行う場合、大量のデータを扱う場合はこのバッチ処理が行われます。
Salesforceの公式のリリースによると、「検出されたレコードの数が400を超える場合、Pardot(Accont Engagement)キューにSalesforce IDを追加し、それらをバッチ処理する。標準のバッチ処理は1時間あたり12,000レコードと同等」(引用元:「顧客データの管理方法①PardotとSalesforceの連携について理解しましょう」 株式会社セールスフォース・ドットコムカスタマーサクセス統括本部より)と言われています。
12,000レコードを1時間で割ると、約1分で200レコード、約3.3秒で1レコード処理できる計算になります。ただし、あくまで目安の時間なので、400レコードを超える処理が必要な場合は即データが同期されるわけではないということは留めておきましょう。
尚、400未満のレコードの場合は、「Pardot(Accont Engagement)は関連するプロスペクトを直ちに同期する」(引用元:「顧客データの管理方法①PardotとSalesforceの連携について理解しましょう」 株式会社セールスフォース・ドットコムカスタマーサクセス統括本部より)と言われています。
まとめ
Account EngagementとSalesforce(Sales Cloud)には、それぞれ異なる用途でデータが存在しています。
どのようなデータが保存されているか、どのような仕組みで同期されているかを把握することで、必要な時に必要なデータをすぐに取り出せるようになります。
Account EngagementとSales Cloudは自動でデータが同期されることはありません。データの種類によって同期のために必要となる処理が異なるので、それもしっかりと覚えておきましょう。
大量のレコードを処理する際は、バッチ処理が行われます。
バッチ処理を行う場合、データの同期は即時で行われない点は把握しておく必要があります。
相談は無料です。インサイドセールス・デジタルセールスに関すること、何でもご相談できますので、是非お気軽にお申し込みください。
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