AgentforceとEinsteinの違いとは?SalesforceのAI機能と両者の関係を整理

SalesforceのAI機能を調べると、Agentforce、Einstein、予測AI、生成AI、Einstein Copilotなど、複数の名称が出てきます。そのため、「AgentforceとEinsteinは別の製品なのか」「EinsteinがAgentforceに置き換わったのか」と迷う担当者もいるでしょう。

AgentforceとEinsteinは、単純な新旧関係や競合関係ではありません。Einsteinは、Salesforce Platformに組み込まれたAI・機械学習機能を広く指す名称です。一方、AgentforceはEinstein Platformを基盤とし、AI機能、データ、アクションを組み合わせてAIエージェントを構築・運用する製品です。

本記事では、AgentforceとEinsteinの違いと関係、SalesforceのAI機能の整理方法、導入前の確認事項などを解説します。

目次

AgentforceとEinsteinの比較

AgentforceとEinsteinの大きな違いは、業務への関わり方です。

Einsteinは、予測、生成、分析、提案などを担うAI機能群です。Agentforceは、AIエージェントに役割、指示、参照データ、実行可能な処理を設定し、業務を進める仕組みです。

EinsteinAgentforce
名称が指す範囲Salesforceに組み込まれたAI機能群AIエージェントを構築・運用する製品
主な役割予測、生成、分析、提案など情報を参照し、処理を選び、業務を進める
利用方法各機能や画面で利用する役割、指示、データ、アクションを設定する
業務への関与担当者の判断や作業を支援する許可された範囲で処理を実行する
両者の関係Agentforceが利用するAI機能を含むEinstein Platformを基盤として動作する

「予測するのがEinstein、実行するのがAgentforce」と分けるだけでは不十分です。Einsteinにも自動化につながる機能があり、Agentforceも回答生成や要約を行います。

両者は二者択一ではなく、業務に応じて組み合わせる関係です。

Salesforce Einsteinとは

Salesforce Einsteinについて詳しく解説します。

Einsteinは単独のアプリケーション名ではなく、Salesforce Platformや各製品に組み込まれたAI・機械学習機能を包括する名称です。予測AI、生成AI、分析、提案など、目的の異なる機能を含みます。

予測AIで確度や傾向を算出する

予測AIは、蓄積されたデータをもとに確率、傾向、スコア、推奨行動などを算出します。営業活動であれば、商談やリードの優先順位を考える材料として利用できます。

予測結果は将来を確定するものではありません。データの正確性や更新状況を整え、出力をどの判断に使うかまで決める必要があります。

生成AIで文章作成や要約を支援する

Einsteinの生成AI機能は、顧客情報や活動履歴を参照し、メール、回答案、要約などの作成を支援します。生成内容が常に正しいとは限らないため、顧客へ送る文章や契約、価格に関わる回答には、人間による確認や承認を設けます。

Einsteinには予測AIと生成AIの両方が含まれるため、Agentforceと比較するときは、Einstein全体と特定のEinstein機能を区別しなければなりません。

Agentforceとは

Agentforceの詳細について解説します。

Agentforceは、Salesforce上でAIエージェントを構築、カスタマイズ、テスト、導入、管理するための製品です。
AIエージェントは質問へ回答するだけでなく、利用できるデータや処理の範囲に沿って、情報を参照し、必要なアクションを選んでタスクを進めます。

AIエージェントが情報を参照して処理を選ぶ

Agentforceでは、エージェントが依頼内容を受け取り、必要な情報やナレッジを参照します。そのうえで、設定された指示とアクションから処理を選びます。処理を完了できない場合や承認が必要な場合には、人間へ引き継ぐ設計も可能です。

ここでいう自律性は、AIが無制限に判断するという意味ではありません。担当業務、利用できるデータ、実行可能な処理、停止条件、権限を事前に設定します。

Salesforceの処理や外部システムと連携する

Agentforceのアクションには、Salesforceの標準処理に加え、Flow、Apex、プロンプトテンプレート、API連携などを組み込めます。レコード検索だけでなく、項目更新や既存ワークフローの起動までつなげられます。

実行できる処理を増やすほど誤処理の影響も大きくなるため、許可するアクションと人間へ引き継ぐ条件を決めます。

AgentforceとEinsteinの5つの違い

AgentforceとEinsteinを正確に比較するには、対象範囲、業務への関与、設定内容、処理範囲、導入後の管理を分けて考える必要があります。

ここでは、AgentforceとEinsteinの違いについて5つの視点から解説します。

1.名称が指す範囲が違う

EinsteinはSalesforceに組み込まれたAI機能を広く含む名称です。AgentforceはAIエージェントの構築と運用に焦点を当てた製品であり、同じ階層にある2つの製品を比較しているわけではありません。

2.業務に関与する方法が違う

Einsteinの各機能は、予測値、文章、要約、推奨内容などを提供し、担当者の判断や作業を支援します。Agentforceは依頼内容に応じて情報を参照し、利用可能なアクションから処理を選びます。

Einsteinの機能が自動化に組み込まれる場合も、Agentforceが文章を生成する場合もあるため、役割を完全には分離できません。

3.設定する内容が違う

Einsteinの個別機能では、予測対象、利用データ、生成する文章、プロンプトなどを設定します。Agentforceでは、エージェントの役割、業務上の指示、実行できるアクション、処理の制限、承認、人間への引き継ぎまで設計します。

4.処理できる業務の範囲が違う

Einsteinの個別機能は、予測、生成、分析などの特定処理を担当します。Agentforceは、複数の情報確認やアクションを組み合わせ、一定の業務フローを進められます。

手順が曖昧な業務や例外が多い業務は、そのまま任せず、判断条件と例外処理を先に定めます。

5.導入後の管理方法が違う

Einsteinの個別機能では、予測や生成内容の精度、利用状況、データの更新などを確認します。Agentforceでは、実行したアクション、参照したデータ、人間へ引き継いだ条件なども管理します。業務ルールを変更した場合は、エージェントの指示やアクションにも反映が必要です。

Einstein CopilotはAgentforceに置き換わったのか

これまでSalesforceで利用できる対話型のAIエージェントには、Einstein Copilotがありました。
2024年、Einstein CopilotはAgentforceに統合され名称が変更になりましたが、Einstein全体がAgentforceに置き換わったというわけではありません。
あくまで名称変更されたのは、Einstein Copilotのみです。

SalesforceのAI機能を3つに分けて整理する

SalesforceのAI機能は、製品名だけでなく、AIが担う役割から整理すると理解しやすくなります。大きく分けると、「予測するAI」「生成するAI」「業務を進めるAIエージェント」の3つです。

予測するAI

予測AIは、Salesforceのデータを使い、確率、スコア、傾向、優先順位などを算出します。結果をどの業務判断に使うのか、利用者と運用ルールを決める必要があります。

Einsteinの機能群の中にもこうした予測AIが含まれています。

生成するAI

生成AIは、顧客情報や活動履歴、ナレッジなどを踏まえ、メール、回答案、要約などを作成します。参照情報、確認者、送信や保存の条件まで設計します。

同じく、Einsteinの機能群の中には生成AIも含まれます。

業務を進めるAIエージェント

AIエージェントは、情報を参照し、必要なアクションを選び、設定された業務を進めます。Agentforceはこの領域を担いますが、処理の途中でEinsteinの予測AIや生成AIを利用する場合もあります。

3つの役割は完全に独立しておらず、1つの業務で組み合わせることもあります。

目的別にAgentforceとEinsteinの利用方法を考える

AgentforceとEinsteinの具体的な利用方法について整理します。
利用方法は、製品名から選ぶのではなく、解決したい課題とAIに任せる範囲を先に決めることが重要です。

確度や傾向を予測したい場合

商談やリードの優先順位、顧客行動の傾向などを把握したい場合は、Einsteinの予測AI機能を中心に検討します。予測対象、利用データ、結果を使う担当者を明確にします。

文章作成や要約を支援したい場合

メール、回答案、要約などを作りたい場合は、Einsteinの生成AI機能が関係します。生成対象、参照データ、確認者、保存や送信の条件を決めます。

複数の処理をAIに進めさせたい場合

情報検索、条件確認、レコード更新、人間への引き継ぎなどを連続して行いたい場合は、Agentforceを中心に検討します。開始条件、実行可能な操作、承認、例外時の対応を整理します。

AgentforceやEinsteinを導入する前に確認すべきこと

SalesforceのAI機能は、導入するだけで業務を自動的に改善するものではありません。

最後に、それぞれのAI機能を導入する前に確認すべきことについて整理します。

対象業務とAIの役割を決める

AIへ任せるのが予測、生成、提案、情報確認、処理実行のどこなのかを決めます。人間が判断する工程とAIが担当する工程を分けることで、導入範囲を具体化できます。

データと業務フローを整える

必要な情報がSalesforceに登録されているか、入力方法が統一されているかを確認します。通常時だけでなく、情報不足、条件不一致、承認待ちなどの例外も整理します。

Data 360はSalesforce内外のデータを統合するデータ基盤です。
Data 360の必要性や設定範囲は、利用する機能や参照データによって異なります。Einstein Trust Layerを設定する場合は、Data 360の構成も必要です。

権限とガードレールを設定する

Agentforceが参照できるデータ、更新できる項目、利用できるアクションを必要な範囲へ限定します。Einstein Trust Layerは、生成AIを利用する際のセキュリティ、データ、プライバシー管理を支えますが、Salesforceのアクセス権限や承認ルールに代わるものではありません。

ライセンスと利用量を確認する

利用条件は、機能、Salesforceのエディション、対象ユーザー、利用量によって異なります。必要な追加製品、対象人数、想定する処理回数も含めて確認します。

まとめ

Einsteinは、Salesforceに組み込まれた予測AI、生成AI、分析、提案などの機能を広く含む名称です。AgentforceはEinstein Platformを基盤とし、設定された指示、データ、権限、アクションに沿ってAIエージェントを動かす製品です。

Einstein全体がAgentforceへ置き換わったわけではありません。Agentforceは、EinsteinのAI機能を含むSalesforceの基盤を利用しながら、回答や業務処理を進めます。

導入時は「AgentforceかEinsteinか」から考えるのではなく、予測、生成、業務実行のどこをAIへ任せるのかを決めます。そのうえで、必要なデータ、業務フロー、権限、人間への引き継ぎ、運用管理を整えましょう。


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