HubSpotでは、CRMに蓄積した顧客情報や活動履歴とAIを組み合わせ、マーケティング、営業、カスタマーサポートの幅広い業務を効率化できます。コンテンツ作成やメール作成だけでなく、顧客データの整理、商談準備、問い合わせ対応など、活用できる場面は広がっています。
この記事では、HubSpotのAI機能「Breeze」を中心に、マーケティング・営業・カスタマーサポートでのAI活用パターンを10個に分けて解説します。日々の業務のどこを効率化できるのかという視点から、導入時のポイントまで整理します。
HubSpotのAI「Breeze」とは
HubSpotでは、AI機能を「Breeze」として展開しています。文章生成に加え、HubSpot上のCRMデータを参照しながら情報を整理したり、顧客対応や営業活動を支援したりできることが特徴です。
なお、利用できるAI機能や利用条件は、HubSpotの契約プラン、ユーザーのシート、HubSpot Creditsの有無などによって異なります。導入時は、自社の契約内容と各機能の最新の提供条件を確認する必要があります。
CRMデータとAIを組み合わせて業務を支援する
HubSpotでは、コンタクト、会社、商談、チケット、活動履歴などをCRM上で管理できます。AIとこうした情報を組み合わせることで、顧客情報の要約、商談準備、マーケティング施策の分析などに活用できます。
そのため、HubSpotにおけるAI活用では、「何を生成できるか」だけでなく、「CRMにある情報をどの業務に生かすか」という視点が重要です。
Breeze AssistantやAIエージェントを業務に応じて使い分ける
HubSpotでは、対話形式で幅広い業務を支援するBreeze Assistantのほか、Customer AgentやProspecting Agentなど、特定業務を想定したAIエージェントも提供されています。
「AIを導入する」と一括りに考えるのではなく、解決したい業務課題に合わせて機能を選ぶことが大切です。
マーケティングで使えるHubSpotのAI活用パターン4選
マーケティングでは、コンテンツ生成だけでなく、CRMデータを活用したターゲット整理やキャンペーン分析にもAIを利用できます。
制作作業の効率化だけでなく、企画から改善までを対象に考えることがポイントです。
活用パターン1.コンテンツ制作の下書きや編集を効率化する
ブログ記事やマーケティングメール、Webページなどを継続して制作していると、構成案や文章を毎回ゼロから考える作業に時間がかかります。HubSpotでは、AIを利用してコンテンツの生成や既存文章の改善を行えます。
例えば、伝えたい内容やターゲットを整理したうえで文章のたたき台を作り、その後に担当者が表現、事実関係、ブランドとの整合性を確認するといった使い方です。AIを初稿作成や編集の補助として使えば、品質を確認する工程を残しながら制作負荷を軽減できます。
活用パターン2.既存コンテンツを複数チャネル向けに再利用する
一つのコンテンツをメール、SNS、ランディングページなどへ展開する際、それぞれを作り直すと運用負荷が大きくなります。HubSpotではContent Remixを利用し、既存コンテンツを別形式へ再構成できます。
ただし、チャネルが変われば適切な文章量や訴求も変わります。AIによる変換だけで完了させず、メールなら件名やCTA、SNSなら冒頭の訴求などを調整し、媒体ごとに最適化することが必要です。
活用パターン3.CRMデータをもとにターゲットや顧客像を整理する
マーケティング施策では、「誰に情報を届けるか」の設定が重要です。一方、CRMに顧客データが増えるほど、担当者が多数のレコードを確認しながら傾向を見つけるには時間がかかります。
HubSpotでは、CRMデータから顧客の特徴や傾向を整理し、ターゲットやセグメントを検討する際にAIを活用できます。AIから得られた結果は正解として扱うのではなく、仮説を作るための材料として利用し、営業担当者が把握している顧客像や実際の商談状況と照らし合わせることが重要です。
活用パターン4.キャンペーンの結果を分析し、改善ポイントを整理する
マーケティング施策では、キャンペーン実施後に結果を確認し、次の施策へ反映する必要があります。複数の指標を見ながら変化を整理する作業は、担当者の負担になりやすい部分です。
Breeze Assistantでは、HubSpot上のキャンペーンデータを分析し、パフォーマンスの整理や改善点の検討を支援できます。AIで注目すべき変化を整理しておけば分析の起点を作りやすくなりますが、数値が変化した理由までAIだけで判断できるとは限りません。施策内容や市場環境も踏まえ、人が仮説を検証する必要があります。
営業で使えるHubSpotのAI活用パターン3選
営業では、顧客との商談だけでなく、見込み顧客の調査、メール作成、履歴確認、商談前の情報整理にも時間がかかります。
こうした準備作業をAIで支援することで、顧客とのコミュニケーションに使える時間を増やしやすくなります。
活用パターン1.見込み顧客を調査し、アプローチの優先順位を整理する
すべての見込み顧客へ同じようにアプローチすると、営業リソースを有効に配分しにくくなります。HubSpotでは、Buyer Intentなどを利用して企業のWeb上での行動や購買シグナルを把握し、営業活動の優先順位を検討できます。
ただし、こうした情報は営業判断そのものを置き換えるものではありません。既存の取引状況や担当者との関係、過去の商談履歴なども合わせて確認し、どこからアプローチするかを決める材料として利用します。
活用パターン2.営業メールやアウトリーチの作成を効率化する
営業メールを顧客ごとに作成するには、相手企業の情報を調べ、過去のやり取りを確認し、文章を考える必要があります。
Prospecting Agentなどを活用すると、企業や見込み顧客について調査しながら、アウトリーチを支援できます。下調べや文章作成の一部をAIで補助すれば、営業担当者の準備時間を減らせます。
一方で、送信数を増やすことだけを目的にすると、関連性の低い連絡が増える可能性があります。重要顧客や個別性の高い提案では、人が内容を確認・調整する運用が必要です。
活用パターン3.商談前の情報整理を効率化する
商談前には、企業情報や担当者情報、過去のメール、これまでの商談内容などを確認する必要があります。CRMに情報が蓄積されていても、一つずつ確認していると準備に時間がかかります。
Breeze Assistantでは、CRM上のレコードを要約したり、ミーティングに向けて情報を整理したりする用途にAIを利用できます。事前に必要な顧客情報を短時間で把握できれば、担当者は確認作業を減らし、提案内容や次のアプローチを考える時間を確保しやすくなります。
カスタマーサポートで使えるHubSpotのAI活用パターン3選
カスタマーサポートでは、定型的な問い合わせや情報整理をAIで支援し、個別判断が必要な対応へ担当者の時間を振り分けることで、業務全体を効率化できます。
活用パターン1.よくある問い合わせへの一次対応を自動化する
営業時間、サービスの使い方、手続き方法など、繰り返し寄せられる問い合わせへ担当者が毎回答えていると、件数の増加に伴って負担も大きくなります。
HubSpotのCustomer Agentでは、ナレッジベースなどの情報を利用し、一般的な問い合わせへの回答を支援できます。定型的な質問をAIが担当することで、人は複雑な相談や個別判断が必要な問い合わせへ集中しやすくなります。
ただし、AIだけでは適切に判断できない内容については、有人対応へ切り替えられる流れを整えておく必要があります。
活用パターン2.問い合わせ内容を分類し、チケット管理を効率化する
問い合わせ対応では、回答だけでなく、内容を確認してカテゴリーを設定したり、適切な担当者へ振り分けたりする作業も発生します。
HubSpotのHelp Deskでは、AIを利用して受信したチケットの分類や言語判定などを支援できます。担当者がすべてを目視で整理する必要がなくなれば、対応開始までの作業を効率化できます。
ただし、分類基準が曖昧なままでは、その後の対応フローを統一しにくくなります。AI導入と合わせて、問い合わせ種別や担当部署のルールも整理することが重要です。
活用パターン3.顧客履歴を要約し、対応前の情報収集を短縮する
問い合わせを受けた担当者が、過去の問い合わせや契約状況、これまでの対応履歴を確認してから回答するケースは少なくありません。顧客との関係が長くなるほど、確認すべき情報も増えます。
HubSpotでは、Breeze Assistantを使って顧客履歴などのCRM情報を整理できます。担当者が多数の履歴を読み返す前に概要を把握できれば、対応準備にかかる時間を短縮できます。
ただし、要約では詳細が省略される可能性があります。重要な問い合わせでは元の履歴も確認し、AIによる要約と原情報の確認を使い分けることが必要です。
HubSpotでAIを活用するときに押さえたい3つのポイント
HubSpotには多くのAI機能がありますが、機能を利用すること自体を目的にすると、業務改善につながらない可能性があります。「どの作業に時間がかかっているのか」「どこならAIへ任せられるのか」を先に整理しましょう。
具体的なポイントは次の通りです。
ポイント1.AIに任せたい業務を先に決める
まずはAI機能から選ぶのではなく、現在の業務から負担の大きい作業を洗い出します。文章作成、商談前の情報収集、問い合わせの一次対応など、繰り返し発生する業務はAI活用を検討しやすい領域です。
一方、顧客との重要な交渉や例外的な判断など、人の経験や責任が求められる業務まで無理に自動化する必要はありません。課題を先に明確にすることで、導入目的や効果も評価しやすくなります。
ポイント2.CRMに蓄積するデータの質を整える
CRMとAIを組み合わせる場合、顧客情報が不足していたり、同じ企業が重複していたり、担当者ごとに入力方法が異なったりすると、AIが利用できる情報の質も安定しません。
コンタクト、会社、商談、問い合わせ履歴などについて、必要な項目や入力ルールを整理し、情報を継続的に更新できる状態を作ることが重要です。AI機能とCRMデータの整備は、別々ではなく並行して進める必要があります。
ポイント3.AIに任せる範囲と人が確認する範囲を分ける
生成AIが出力する内容は、常に正確とは限りません。顧客に送信するメールや公開するコンテンツ、重要な営業判断では、人による確認を組み込む必要があります。
例えば、下書き作成や要約はAIに任せ、最終確認は担当者が行う方法があります。問い合わせ対応でも、定型的な質問はAI、契約や個別事情に関わる相談は人が対応するなど、役割を分けることが重要です。
AI活用では、人の作業をなくすことではなく、人が判断すべき業務へ時間を振り分けられる状態を目指しましょう。
まとめ|HubSpotのAIは業務の目的に合わせて使い分ける
HubSpotのAIは、コンテンツ制作、顧客分析、営業活動、商談準備、問い合わせ対応など幅広い業務で利用できます。CRMに蓄積された顧客データとAIを組み合わせられることも、活用を考えるうえで重要です。
ただし、利用できる機能をすべて導入する必要はありません。まずは自社で時間がかかっている業務や定型化できる作業を整理し、AIに任せる部分と人が判断する部分を分けることが大切です。
HubSpotのAI機能を自社の業務課題に合わせて選び、小さな範囲から活用を始めることで、マーケティング・営業・カスタマーサポートそれぞれの業務改善につなげていきましょう。
シーサイドでは、AIツールの導入や、MA・SFAといったデジタルツールの活用に関するご相談も受け付けております。
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